有精卵と無精卵の違い【有精卵を食べるメリット|おすすめする理由】


卵には有精卵と無精卵があるって聞いたけど、どっちがいいんだろう?



栄養には差がないって聞いたけど、、、
こんな疑問にお答えします。
はじめに結論を言ってしまいますと、自分と鶏の健康を考えるのなら有精卵をおすすめします。
その理由を分かりやすく解説しますね。
- 有精卵と無精卵の違い
- 有精卵を食べるメリット
- 有精卵を手に入れるおすすめの方法
筆者プロフィール


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ジャンクフード中毒から自然食品店長に。
20代で体調を大きく崩し、食養を学んで病弱体質を改善。自然食の仕事10年以上の経験と体験をもとに「安全な食品の選び方」と「体にいい自然食」について発信中!
有精卵と無精卵の違い


まずはじめに有精卵と無精卵、2つの違いについて説明します。
有精卵・無精卵とは


2つの違いは、その名の通りです。
有精卵・・・受精した卵
無精卵・・・受精していない卵
有精卵は、条件が揃えば温めるとヒヨコが生まれます。
無精卵からはヒヨコは生まれません。



つまり、受精しているかどうかの違いです。
ちなみに、日本のスーパーで販売されている卵のほとんどは無精卵です。
有精卵は、雌鶏100羽に対して雄鶏5羽以上の割合で、平飼いや放し飼いなど自然交配ができる環境で飼育されていることを定義としています。
無精卵はなぜできるのか



無精卵は受精していないのに、なんで卵ができるの、、、?
こんな風に気になっている人もいると思います。
実は、雌鶏は雄鶏と交尾をしなくても卵を産めます。
鶏が卵を産むのは、私達人間でいう「出産」ではなく「排卵」と同じことなのです。
人間の生理は「月」周期ですが、鶏の場合は「日」周期。
なので、雌鶏は雄鶏がいなくても毎日卵を産むことができます。
ちなみに、現在「採卵鶏」(卵を産む鶏)として飼われている鶏は、品種改良によって、自然の状態以上に卵を産み続けることができるようになっています。
有精卵と無精卵の見分け方
2つの違いは、外見だけでは見分けることができません。
ですが、殻を割って、中身を出すとその違いが分かります。



それは、「胚盤」がはっきり見えるかどうかです。


有精卵の場合は、黄身の部分に3~4㎜の小さな白い輪がくっきりと見えます。
これが「胚盤」といい、ヒヨコに育つ元となる部分です。
(実は、黄身や白身は胚盤にとっての栄養にすぎないんですね)
有精卵の場合は、この胚盤が無精卵のものよりもはっきりと見えるので、見分けることができます。
有精卵と無精卵の栄養に違いはない
さて、1番気になるところ。
有精卵と無精卵に栄養の違いはあるのか?



実は栄養成分にほとんど違いはありません。
有精卵の方が価格が高いので、栄養価も高いという印象がありますが、科学的には成分にほとんど変わりはなく、明確な優位性は認められていません。
では、なぜ有精卵をおすすめするのか
ここから、詳しく解説してゆきますね。
有精卵を食べるメリット|おすすめする理由


有精卵を食べるメリット、そして、おすすめする理由は2つあります。
①有精卵には生命力がある


有精卵も無精卵も科学的には栄養成分に違いはありませんが、そもそも科学で食べ物のすべてが分かるわけではありません。
この世の中にあるもので、科学的に解明できるのはまだ一部分に過ぎないともいわれています。
生命なきものは生命の糧とならず
↑これは、玄米食を普及した東大名誉教授の二木謙三博士の言葉です。
二木博士は健康を維持していくためには、医療に頼るだけでなく、毎日の食が大切と感じ、みずからが実践して長く悩んでいた病弱体質を改善し、食の大切さを多くの人に伝えました。
▼二木博士の考えが分かるおすすめ書籍
博士は第一に「命あるものを食べるべき」としました。
現代はインスタント食やレトルト食など、いわゆる超加工食品が溢れていますが、そういった食事に生命力があるとはいえませんね。
やはり自然に育った野菜やお米など、そういったものが体にエネルギーを与えてくれるのは感覚的に分かる人は多いと思います。
そう考えますと、温めればヒヨコが生まれる有精卵の方が、生命力があるといえます。
だからといって、「無精卵がよくない」とか「絶対にインスタント食品は食べちゃいけない」と凝り固まる必要はありませんが、この考えは食と健康の原理原則として覚えておきたいことです。
②有精卵を選ぶことは鶏を守ることに繋がる


キレイごとに聞こえるかもしれませんが、有精卵を選ぶ人が増えれば、それは鶏を守ることに繋がります。
なぜなら、有精卵を選ぶ人が増えれば、その分、無精卵が売れなくなるからです。
それはつまり、無精卵をつくる採卵鶏の苦痛を減らすことに繋がります。
消費者が変われば生産者が変わる
ここからは、より詳しく採卵鶏の現状が分かるように、鶏の飼育方法と飼育環境について簡単に解説してゆきます。
「平飼い」と「ケージ飼い」


鶏の飼育方法は主に「平飼い」と「放し飼い」、そして「ケージ飼い」があります。
平飼い | 鶏を鶏舎の中で地面の上に放す飼育方法。鶏たちは鶏舎の中で自由に動き回ることができ、砂浴びをしたり、止まり木で羽を休めたりして過ごせる。 |
放し飼い | 鶏が屋外と鶏小屋を自由に行き来できる環境が整っている。鶏たちにとっては最もストレスが少ない飼育方法。(日本で導入している養鶏場は少ない) |
ケージ飼い | 鶏を小さなケージ(檻)の中に入れて飼育する方法。平飼いや放し飼いのように自由に歩き回ることができない。 |
「平飼い」「放し飼い」は、鶏が自由に動き回れます。
それに対して「ケージ飼い」は、ケージ(檻)の中でほとんど身動きができません。
現在、日本で販売されている卵の90%以上がケージ飼いの卵です。
特に「バタリーケージ」という狭い金網のケージに閉じ込められて飼育されている鶏がほとんどなのです。
その大きさは400㎠ほどのものが一般的で、しかも1つのケージの中に2羽の鶏が収容されることもあり、1羽に与えられる飼育面積はB5用紙1枚ほどといいます。


羽をばたつかせれば金網に当たって骨折する鶏もいますし、隙間に挟まって動けなくって餓死する鶏もいます。
ケージ飼いの鶏は、計り知れないストレスを抱えています。
自分の体と同じくらいの面積の中で、ほとんど身動きが取れない状態。
「私たち人間が、もしそうだったら、、、」と考えると、本当にかわいそうに思います。
「開放鶏舎」と「無窓鶏舎」
そして、飼育環境の違いで「開放鶏舎」と「無窓鶏舎」があります。
大規模な養鶏場で主流なのが「無窓鶏舎(ウィンドウレス鶏舎)」です。


その名の通り「窓がない鶏舎」のことですが、病原菌などが入りこまないようにつくられたものです。
日光が入らないので、昼間でも照明を点け、換気扇によって空気を入れ替えて、というふうに考えられて設計されています。
それに対して、開放鶏舎は日光や空気が入ってきます。
当たり前のことですが、これも「私たちだったら、、、」と考えると、日光に当たる方が健康的だと思いますよね。
もちろん、養鶏場側からすれば無窓鶏舎も開放鶏舎もメリット・デメリットがあるので、どちらがいいかは一概にはいえません。
ただし、鶏のことを第一に考えたら、開放鶏舎の方がより健康的です。
世界で拡がる「アニマルウェルフェア」と「ケージフリー」活動
現状、私たちが食べる卵をつくってくれている鶏の多くは、劣悪な環境の中で飼育されています。
病気になったら商品として販売出来ませんので、エサの中に抗生物質が入ることもあります。
鳥インフルエンザが流行すれば、すべて殺処分されます、、、
採卵鶏は、卵を産むためだけに酷使されて、最後は「廃鶏」となり、殺処分されているのです。



鶏のことを考えると、本当に胸が苦しくなります。
キレイごとかもしれませんが、「大量生産・大量消費」といった、人間のことだけを考えたビジネスが鶏を苦しめているのです。
しかし、いま「アニマルウェルフェア」の観点が少しずつ拡がっています。
アニマルウェルフェア(Animal Welfare・家畜福祉)とは、感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な暮らしができる飼育方法をめざす畜産のあり方です。
引用元:一般社団法人 アニマルウェルフェア畜産協会
アニマルウェルフェアは、1964年に出版されたイギリスの活動家ルース・ハリソンの著書『アニマル・マシーン』がきっかけで世に広まったとされています。
この本がベストセラーとなったことで工業的な畜産の現状が一般市民に知れ渡り、「家畜に必要以上の苦痛を与えないように配慮すべき」という声が高まりました。
それを受けたイギリス政府は「すべての家畜に、立つ、寝る、向きを変える、身繕いする、手足を伸ばす自由を」という基準を提唱し、それが今日のアニマルウェルフェアの基本原則「5つの自由」に繋がっています。
- 飢えと渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み、怪我、病気からの自由
- 正常な行動を発現する自由
- 恐怖と苦悩からの自由
現在、ヨーロッパを中心にアニマルウェルフェアの考えは世界に広がり、家畜だけでなく、ペットや実験動物など、あらゆる動物に対して動物福祉政策の基準となっています。
しかし、ここ日本では取り組みがかなり遅れていて、いまだ国民の9割が「アニマルウェルフェア」という言葉すら知らないのが現状です。
家畜に対しても、消費者一人ひとりが考えてゆかなければなりません。
そして、アニマルウェルフェアの観点から、世界では「ケージフリー」活動が広まってきました。
「ケージフリー」とは、鶏をケージの中に入れないこと。
つまり、平飼いや放し飼いをするということです。
すでに、いくつもの国や企業がケージフリーを宣言しています↓
- EU、スイス、ニュージーランド、インド、ブータン、アメリカの6つの州ではバタリーケージでの飼育が禁止
- マクドナルド(日本支社を除く)、スターバックス、サブウェイなどの企業が「ケージフリー」を宣言
実際に、欧米のスーパーでは平飼い卵が当たり前のように並んでいて、国民の意識も高いといいますね。
南米、南アフリカ、韓国なども「ケージフリー」へと切り替えを始めていて、少しずつ、ケージ飼いを廃止していく流れが世界で起きています。
残念ながら、日本ではまだこのような流れがあまりありませんが、、、
だからこそ、個人が、消費者が、「選ぶ」必要があります。
食は「命をいただく」こと
そして、「買い物は投票」です
それに、そんなストレスだらけの鶏が産んだ卵よりも、元気にのびのびと生活している鶏が生んだ卵の方が、私たちにとっても健康的なはずですよね。



有精卵を選ぶことは、私たちにとっても、鶏にとっても、良いことであると考えます。
ちなみに、国際鶏卵委員会の発表によると、ここ日本はメキシコに次いで世界で2番目に卵を消費している国で、2018年の年間消費量は1人当たり337個でした。
つまり、平均して1日1個は食べていることになります。
身近な食品だからこそ、一人ひとりがこの問題を考えてゆきたいですね。
有精卵のデメリットは?


有精卵をつくるには、雌鶏100羽に対して雄鶏5羽以上の割合で、平飼いや放し飼いなど自然交配ができる環境で飼育されていないといけません。
養鶏場側からすると、作業が大変で、コストもかかることが想像できます。
養鶏場側が挙げる「有精卵のデメリット」とされているのがこちらです。
- 平飼いだと鶏が他の動物に襲われる危険がある
- 放し飼いで野生動物やそれらの糞に触れると、鳥インフルエンザやサルモネラ菌に感染する可能性がある
- ケージ飼いよりもエサの管理が難しい
- 鶏の糞をちゃんと処理しないと病気が発生する可能性がある
- 作業が大変で、コストがかかる
- 無精卵に比べて価格が高いので売れにくい



消費者には分からない、生産者側の苦労が当然あるわけですね。
しかし、それでも有精卵をつくってくれている生産者はいます。
売られているすべての卵が有精卵になるのは難しいと思いますが、今よりも有精卵が増えるように「買い物」で応援したいですね。
ちなみに、「価格が高い」のはある意味当然で、これに関しては消費者側の考え方にもよります。
他の食材にもいえることですが、品質の良いものはそれ相応の価値があります。
「食が大切」と考えるのであれば、価格の高さは「健康への投資」と考えることもできますよ。
有精卵を買うおすすめの方法





有精卵って、どこで買えるの?
有精卵は、一般のスーパーではなかなか手に入りません。
オーガニックスーパーや自然食品店には当たり前のように置いてありますが、近くにそういうお店がない人はインターネットか食材宅配サービスを利用すると簡単に手に入りますよ。
インターネットで購入する
有精卵は、アマゾンや楽天などインターネットでも購入することができます。
ただし、小さい単位では買えないことが多いです。
20~30個、それ以上のまとめてセットで販売されています。
- 毎日食べるから沢山ほしい!
- 家族が多いからまとめて買っておきたい!
そんな人には、こちらがおすすめです↓
食材宅配サービスで購入する
品質にこだわった食材宅配サービスでも、有精卵を購入することができます。
食材宅配の場合は小さい単位でも購入することができるのがメリットですね。


調べたところ、安定して有精卵が手に入る食材宅配サービスはこの4つです↓



今の時代、食材宅配サービスを利用するのはとてもオススメです。
- 仕事や家事で忙しくて、なかなか買い物に行けない人
- スーパーが遠くにあって、買い物に行くのが面倒な人
- 安全な食品を手に入れたいけど、自然食品店が近くにない人
安全な食品が手に入るおすすめのサービスを厳選しましたので、ぜひ参考にしてください↓


まとめ|有精卵を選ぶことは「命をいただく」こと


卵には、有精卵と無精卵の2つの種類があり、栄養成分には違いがありません。
しかし、「命あるものを食べる」という意味で有精卵をおすすめします。
また、有精卵を選ぶことは劣悪な環境で飼育されるケージ飼いを減らすことにも繋がります。
毎日食べる卵だからこそ、一人ひとりに考えてもらいたい内容です。
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