体に悪いもの。
その代表とされているのが「食品添加物」です。
しかし、その内容について、きちんと理解している人はどれだけいるのでしょうか。
この記事では、食品添加物についてよく理解していない人に、メリットやデメリット、問題点など基本的な知識を分かりやすく解説します。
- 食品添加物とは何なのか
- 食品添加物のメリットとデメリット
- 日本の食品添加物事情
あるとむ

自然食×食養生アドバイザー
食を見直してジャンクフード依存・虚弱体質から脱却。自然食品店の店長として14年の経験、食養生・薬膳などを学び得た知識を活かし、ブログやSNSで広く発信中。
2023年食養生講座をスタート、2024年初著書『食の選び方大全』(サンクチュアリ出版)を出版。オンラインで食事改善の相談・サポートもしています。
正直、食品添加物については非常に多くの情報があり、そのすべてをお伝えするにはブログでは書き切れません。

食品添加物ってなに?
どこが問題なの?
という人に向けて基本的な部分を書いていきますので、もっと具体的に「どの添加物が体に悪いの?」という情報が知りたい人は、別の記事で「危険性の高い食品添加物」を解説していますので、ぜひそちらを読んでください。


食品添加物とは


食品添加物とは、食品を製造する際に添加する物質のこと。
色付け、味付け、香り付けなど、主に、食品の加工や保存の目的で使われています。
食品添加物には様々な種類がありますが、厚生労働省が次のように分類をしています。
- 一般飲食添加物(約100品目)
- 天然香料(約600品目)
- 既存添加物(365品目)
- 指定添加物(464品目)
※2020年1月時点での認可数
このうち、「一般飲食添加物」「天然香料」「既存添加物」は比較的昔から使われている天然由来のものです。
それに対して、「指定添加物」は石油製品などを原料とした化学合成されたものも含まれるため、合成添加物と呼ばれることが多いです。
化学合成された食品添加物は、天然のものと違って、体に入るとうまく排出できず、それが体内に蓄積されてしまうと考えられており、そのため問題視されています。
体の中に蓄積された化学物質は、血液を汚したり、アレルギー発症の原因にもなる可能性があるとされています。



一般に「体に良くないもの」といわれることが多いのは、この「指定添加物」のことです。
ここで誤解がないようにしておきたいのですが、食品添加物にもちゃんと使うメリットがあります。
そして、多くの人が心配しているようにデメリットもないとはいえません。
メリットデメリットを知った上で上手に付き合っていかなければならないと思うのです。
それでは、一般にいわれる食品添加物のメリットとデメリットを順に解説してゆきます。
食品添加物のメリット


まずはじめに、メリットについてです。
主に次の4つが挙げられます。
- 食中毒を防止する
- 保存性が高まる
- 味・風味・見た目が良くなる
- 価格が安くなる
①食中毒を防止する
食品添加物の1番のメリットは「食中毒の防止」です。
特に日本は、温暖多湿な気候でもあり、食中毒が発生しやすい地域といえます。
保存料や殺菌剤、酸化防止剤を使用することで、食品の腐敗や、食中毒の防止に役立っています。
実際に、1960年代の食中毒患者数は最大4万人いましたが、2010年代には約2万人まで減少しています。
これは、「冷蔵庫など衛生管理の技術が向上したから」とも言われていますが、保存料など食品添加物の効果も大きな要因の一つとされています。
②保存性が高まる
前述した保存料などを使用することにより、商品の保存性が高まります。
保存料を入れないと、商品が作られてからお店に輸送される段階で腐る可能性があります。
また、お店に陳列されている間に商品がダメになってしまう場合もあります。
添加物を使用することによって、保存期間を延ばすことができ、それは、食品の廃棄ロスを減らすことにも繋がっているんですね。
ちなみに、地震や台風などの災害時は、このような保存料を使用した加工食品が被災地の現場では重宝されています。
③味・風味・見た目が良くなる
着色料や発色剤を使用することで、食品の色や見た目を調整しています。
見た目は、食欲の増進や食事の満足度を上げる効果もありますので、この点で非常に大きな効果があるといえます。
日本では昔から天然の着色料や香料が使用されてきましたが、現在は化学合成されたものが広く使われています。
また、甘味料や酸味料、苦味料などで様々な味を実現し、食を豊かにさせてくれる力が添加物にはあるんですね。
④価格が安くなる
自然のもの、天然のものは原材料が高く、商品の価格が高くなる傾向があります。
砂糖の代わりに人工甘味料を使用するなどして、原価が安い食品添加物を代用することで価格が下げられます。
同様に、本物の調味料ではなく、合わせ調味料や化学調味料を使用することで、商品の価格は大きく違ってきます。
食品添加物のデメリット


反対に、食品添加物のデメリットとされているのが、次の3つです。
- 有害性
- 塩分・糖分・油分の過剰摂取
- 味覚障害の可能性
①有害性
多くの人が心配しているように、食品添加物を摂取することで、体に有害があると考えられています。
しかし、実際には食品添加物は安全性が認められていて、その根拠となるデータはあまり出ていません。
ただし、複数の食品添加物を一緒に摂取した際の体への影響はなかなか調べることができず、その点がガンや生活習慣病の要因の一つといわれています。
ここは本当に賛否両論ですので、自分で判断するしかありませんね。
その上で、参考になる本を紹介しておきます↓
詳しく知りたい人は、ぜひ読んでみて!
▼元食品添加物のトップセールスマン・安倍司さんのベストセラー『食品の裏側』
▼こちらはマンガ。本を読むのが苦手な人にも分かりやすい1冊。
②塩分・糖分・油分の過剰摂取
食品添加物によって、味や香り、品質が安定しますが、塩分や糖分、油分を過剰に摂取してしまう可能性があります。
どういうことかといいますと、「実際は使っているのだけれども感じない」のです。
例えば、市販されている缶コーヒーには、多いもので角砂糖6個分の砂糖が使われています。
しかし、実際にはそんな甘さは感じませんよね。
食品添加物を使用することで、味、風味が調整されて、甘さをそこまで感じないのです。
ですが、体にはちゃんと入っています。
体は大量に入ってきた糖分を処理するために、通常以上の負担が掛かっているのです。
③味覚障害の可能性
私たちは「味」をどのように感じているのかといいますと、舌の表面にある「味蕾(みらい)」という小さな器官で味をキャッチしています。
味蕾は甘味、酸味、苦味などを感じ、神経を介して、脳の味覚中枢へと情報が伝わってゆきます。
味覚障害は様々な要因が考えられますが、特に亜鉛不足によって味蕾の代謝が落ちることが指摘されています。
食品添加物の中には、リン酸塩、ポリリン酸、フィチン酸など、亜鉛の吸収を妨げるものがあります。
それらがよく使われるインスタント食品やファストフードに偏った食生活は亜鉛不足を招き、味覚障害を起こす可能性があります。
特に味覚が育つ前の子どもが加⼯食品ばかり食べていると、いつの間にか味覚音痴になり、それが原因で偏った食事をしてしまうことも危険視されています。
日本は食品添加物大国って本当!?


世界の食品添加物事情を見ていくと、先進国、特にここ日本は食品添加物が多く使われている国だといわれています。
ただし、「日本の食品添加物認可数は世界一」というのは間違いです。
たしかに日本は添加物を多く使っている国といえますが、世界でダントツに多いというわけではありません。
そもそも食品添加物は国によって定義や対象食品の範囲、使用可能量などが異なるので、認可数を単純に比較することはできないんですね。
下記の記事にあるように、仮に認可数だけで比較しても日本は世界一でないことが分かります。
https://factcheckcenter.jp/fact-check/health/japan-vs-us-food-additive-approvals/
※私も以前は冒頭のように発信していたことがありますが、事実を知り訂正しました。誤った情報が広がることによって、情報を受け取る側が極端な思想を持ってしまうこともあるからです。
「食の安全」について情報を発信していると、時に恐怖を煽るような表現になってしまうことがありますが、本当はその先にある「食の尊さ」を伝えたいんです。
だから、情報を受け取る側も最終的には「自分で調べて判断する」ことを忘れないようにした方がいいです。
まとめ


食品添加物とは、食品を製造する際に添加する物質のことです。
一般に「体に悪い」といわれているのは指定添加物です。
- 一般飲食添加物(約100品目)
- 天然香料(約600品目)
- 既存添加物(365品目)
- 指定添加物(464品目)
※2020年1月時点での認可数
そのメリットとデメリットは主に以下の通りです。
- 食中毒を防止する
- 保存性が高まる
- 味・風味・見た目が良くなる
- 価格が安くなる
- 有害性
- 塩分・糖分・油分の過剰摂取
- 味覚障害の可能性
私たちが毎日手にする食品には、さまざまな食品添加物が使われています。
実際に、私たちの生活は食品添加物の恩恵を受けている部分が多くあるのが現実です。
しかし、その安全性を考えた時、気をつけなければならない点もあるでしょう。
すべてを加工食品に頼るのではなく、なるべく手作りをする。
特に危険性の高い添加物を避けるようにする。



そんな風にして毎日の食事を見直していきましょう!
▼危険性の高い食品添加物について知る

