日本人が大切にしている伝統文化・風習の中に「節分」があります。
その日は、鬼を追い払い、福を招くために豆まきを行う家庭が多いですが、最近では「恵方巻き」を食べることも一般的になっています。
実は、この恵方巻き、あるコンビニが広めたということをご存知でしたか?
今回は恵方巻きの意味と由来、そしてその発祥について詳しく解説します。
節分・恵方巻きの発祥はコンビニだった

節分に恵方巻きを食べるという風習が広まったのは、実はコンビニの影響が大きいのです。
お祭りや行事の際に、お寿司を食べるという風習は昔からありますが、太巻きを食べるという風習は正確な資料が残っていません。
一説によると、大阪の遊女の間で「恵方の方角を向きながら太巻きを食べると幸せになる」ということが流行していたといいます。
これを理由に、大阪の寿司商組合と海苔問屋組合が「幸運巻き寿司」を販売したことが、現在の恵方巻きのルーツと言われています。
もともとは関西地方に限定された風習でしたが、1989年にコンビニ大手のセブンイレブンが「恵方巻き」という名称で商品を販売し始め、全国規模で広まりました。
コンビニによる販売とそのプロモーションが功を奏し、2000年以降、恵方巻きは全国で食べられるようになり、今では節分の定番として定着しました。
節分に恵方巻きを食べることは、伝統的というより、どちらかというと商業性の強いものですが、恵方を知ること自体は昔から馴染みがあり、とても良いことだと思います。
「恵方」とは

「恵方」とは、簡単に言うとその年の良い方角のことです。
恵方の方角は、歳徳神(としとくじん)という神様がいる方向として考えられています。
歳徳神は福をつかさどる神様で、その方角に向かって行動すれば「すべて吉」とされ、悪い事が避けられると言われています。
恵方の決め方は「十干(じっかん)」を用います。
十干は、中国で生まれた考え方で、十二支と組み合わせて暦や時間、方角などを表すものとして伝わってきました。
十干は、甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)など、10種類があります。
十干
- 甲(きのえ)
- 乙(きのと)
- 丙(ひのえ)
- 丁(ひのと)
- 戊(つちのえ)
- 己(つちのと)
- 庚(かのえ)
- 辛(かのと)
- 壬(みずのえ)
- 癸(みずのと)
この十干に基づいて、恵方の方角が決まっています。
つまり、歳徳神のいる方角は、十干(じっかん)によって決められます。
例えば、甲の年なら「東北東やや右」、乙の年なら「西南西やや右」というように、十干の年ごとに恵方が異なります。
十干 | 西暦 | 方角 |
甲の年 | 4 | 東北東やや右 |
己の年 | 9 | 〃 |
庚の年 | 0 | 西南西やや右 |
乙の年 | 5 | 〃 |
辛の年 | 1 | 南南東やや右 |
癸の年 | 3 | 〃 |
丙の年 | 6 | 北北西やや右 |
戊の年 | 8 | 〃 |
壬の年 | 2 | 南南東やや右 |
丁の年 | 7 | 〃 |
十干は10年で一回りします。
西暦の下1桁の数字を上の表に入れてありますので、それに合わせてみると分かりやすいです。
現在は十二支(じゅうにし)の方が馴染みがありますが、実はこの十干、私達の生活に意外と溶け込んでいます。
契約書などで「甲」「乙」など略称で使われたり、順番が決められないほど難しい状態を「甲乙つけがたい」とも言いますよね。
また、歴史上の大きな出来事には十干と十二支、つまり干支(えと)が使われています。
- 戊辰戦争(慶応4年・1868年)
- 壬申の乱(天智天皇11年・672年)
ちなみに、「還暦」とは生まれた年の干支に還ることをいいます。
現在は西暦ばかりが使われて分かりずらいですが、昔は干支が生活に馴染んで使われてきたことが伺えますね。
まとめ
恵方巻きは、実は伝統的な風習というよりも、商業的な目的で広まった風習と言えます。
しかし、恵方を知ることは厄除けとなり、願いを叶えたいという思いは、いまも昔も変わりません。
恵方巻きは、家庭でも簡単に作れるので、家族で楽しく作りながら、節分の風習を楽しむことができますね。