お味噌汁って体にいいんだよね・・・
やっぱり飲んだ方がいいのかな?
どんな味噌を選べばいいんだろう?
今回はこんな疑問に答えます。
- 味噌に含まれる栄養
- お味噌汁の健康効果
- 安全でおいしい味噌を選ぶポイント
あるとむ
自然食・食養生アドバイザー
食を見直してジャンクフード依存・虚弱体質から脱却。自然食品店の店長として14年の経験、食養生・薬膳などを学び得た知識を活かし、ブログやSNSで広く発信中。
2023年食養生講座をスタート、2024年初著書『食の選び方大全』(サンクチュアリ出版)を出版。オンラインで食事改善の相談・サポートもしています。
日本の食事といえば、「ご飯とお味噌汁」ですよね。
昔から「味噌は医者いらず」といわれ、その価値は広く知られていました。
現代は食のグローバル化によって、お味噌汁をはじめ昔ながらの日本食を毎日食べる人は減りました。
しかし、体調を崩す人が多い現代こそ、味噌の効能を知るべきです。
この記事では、味噌の栄養と効能について詳しく解説します。
また、記事の後半ではおいしくて体にいい味噌を選ぶポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
味噌の効能を知ったら、きっと毎日お味噌汁が飲みたくなるはずですよ。
味噌の栄養
日本を代表する食品・味噌の起源は、古代中国から伝わってきた「醤」(ひしお)と考えられています。
もともと味噌は、舐めたり、食材に塗ったりして食べられていました。
「お味噌汁」として飲まれるようになったのは鎌倉時代。
禅僧らが味噌をすり鉢ですって、湯に溶かして飲んだのがはじまりとされています。
味噌は大豆を発酵させてつくる「発酵食品」です。
発酵することでアミノ酸やビタミンが増え、大豆そのものよりも栄養成分が豊富な食品に変わります。
以下は味噌(米みそ)大さじ1杯(約18g)の栄養成分です↓
カロリー | 34kcal |
タンパク質 | 2.2g |
脂質 | 1g |
炭水化物 | 4.2g |
カルシウム | 12㎎ |
鉄 | 0.5㎎ |
食物繊維 | 0.8g |
塩分 | 2.1g |
味噌にはタンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維など栄養が豊富に含まれ、かつバランスよく含まれています。
さらに、健康効果が高いイソフラボンやサポニン、リノール酸といった成分も含まれており、また、発酵食品ですので酵母や乳酸菌などの栄養を摂ることができます。
そんな味噌の栄養を手軽に摂れるのが「お味噌汁」なんですね。
最高の健康食!お味噌汁の効能
ここ日本には味噌にまつわる言葉(ことわざ?)がたくさんあります。
「味噌は医者いらず」
「味噌汁は朝の毒消し」
「味噌汁一杯三里の力」
「味噌で飲む一杯、酒に毒はなし」
「医者の金を払うよりも、みそ屋に払え」
徳川家康も「太平の世を築くには健康で長生きしなければならない」とし、毎日お味噌汁を飲んでいたといいます。
日本では古くから味噌の効能は広く知られていて、毎日お味噌汁を飲むという習慣が日本人の健康を守ってきました。
その答え合わせをするかのように、現代では味噌についてのさまざまな研究が行われ、その効能に世界中が注目しています。
お味噌汁を飲むことで、主に次の効能が期待できます↓
- 老化防止
- 冷えの解消
- ダイエット効果
- 生活習慣病の予防
- ガン予防
- 放射線被爆から身を守る
では、一つずつ解説してゆきます。
①老化防止
細胞が酸化することは、つまり老化現象です。
味噌にはイソフラボンやビタミンEなど、抗酸化力が強い成分が含まれています。
お味噌汁を飲むと肌がきれいになるというデータがありますが、これは味噌による肌の酸化を防ぐ効果のあらわれです。
20〜40代女性を対象とした実験では、みそ汁を飲むと、皮膚の角層におけるセラミドを増加させるということが明らかになりました。これにより、肌の保湿状態がよくなり、キメが整うと考えられています。
出典元:「糀の力で、美しく 糀の美肌効果」(マルコメの研究開発)
②冷えの解消
味噌に含まれるビタミンEは血行を促進させ、血液循環を良くします。
さらに、サポニンも血液をサラサラにし、血液循環を良くします。
血の巡りが良くなると、体温が上がります。
低体温や冷え性で悩んでいる人が、毎日お味噌汁を飲んで改善された例もあります。
③ダイエット効果
味噌に含まれるアミノ酸やビタミンは、体の脂肪を分解し燃焼させます。
さらに、豊富に含まれた食物繊維が腸内環境を改善し、便通を良くします。
腸の研究で著名な順天堂大医学部・小林弘幸教授が書いた「味噌のダイエット効果」に関する著書はベストセラーとなりました↓
▼こちらの本も人気です
ちなみに小林教授が提案する「味噌汁ダイエット」は、1日3食のうちの1食をお味噌汁だけにするという、とっても簡単な方法です。
これなら無理せず続けられますね!
④生活習慣病の予防
味噌には様々な栄養成分が含まれていて、それらのはたらきによって高血圧、高コレステロール、骨粗鬆症、糖尿病、脳疾患、心疾患など、生活習慣病を予防することが期待されています。
味噌には塩分が含まれていますので、高血圧の人ほどお味噌汁を飲むのを控えめにしがちですが、意外にも高血圧の予防・改善に効果的であることが分かっています。
▼詳しくはこちらの記事をどうぞ
また、味噌は発酵食品なので腸に良いです。
腸内環境が良くなれば、免疫が正常になり、アレルギーの改善に繋がります。
そして、便通が良くなるので体内に蓄積した有害物質をデトックス(解毒)する効果が期待できます。
⑤ガンの予防
1981年、国立がんセンター研究所の平山博士らによる研究では、毎日お味噌汁を飲むことで胃ガンによる死亡率を抑えることができると報告されています。
全国の約27万人もの食生活を17年間追跡調査した結果、お味噌汁を毎日飲む人の胃がん死亡率は、ほとんど飲まない人の約50%でした。(「味噌業界の現状と将来」農林水産省を参考)
また、2003年の厚生労働省による研究報告では、1日3杯以上お味噌汁を飲むことで乳がんの発生率が40%減少することが分かりました。
⑥放射線被爆から身を守る
「味噌博士」と呼ばれる広島大学名誉教授・渡邊敦光博士は、20年以上にわたり味噌の持つさまざまな働きについて研究をしています。
そんな渡邊博士が味噌の研究を始めたのは、長崎の被爆医師・秋月辰一郎医師の言葉でした。
秋月医師の「お味噌汁を食べたら原爆症が出ない」という話を実証してほしい、との依頼を受けたことがきっかけだといいます。
原爆が落とされたとき、秋月医師が院長をつとめていた長崎・浦上第一病院は、爆心地200メートルという近距離にありながら、病院スタッフ、入院患者、だれひとり原爆症を発症しなかった「奇跡」を起こしました。
そして、秋月医師はみずからも被爆しながら負傷した人の救護にあたり、「長崎の英雄」と評されました。
▼秋月医師の体験と考えが凝縮された本です
秋月医師は、毎日患者に玄米とワカメのお味噌汁を食べさせたところ、原爆症にならなかったことを報告しています。
そんな秋月医師の体験を、渡邊博士はマウスによる実験でそれを実証しました。
マウスを普通のエサを与えるグループと、味噌を混ぜたエサを与えるグループに分け、1週間後に放射線を照射し、その3日後に小腸を調べると、エサに味噌を混ぜたマウスの方がより多くの小腸組織が再生されていることが分かりました。
このことから、味噌に放射線による障害から予防する効果があることが分かりました。
また、この研究では180日間熟成させた味噌が最も効果が高かったことも報告されています。
渡邊博士の著書『味噌力』(かんき出版)は、味噌の効能について詳しく知りたい人におすすめの1冊です↓
科学的にはまだまだ実証が足りない部分もあるようですが、原爆を経験した日本だからこそ、放射線から身を守る味噌のはたらきを忘れてはいけないと思います。
おいしくて体にいい味噌を選ぶポイント
味噌を選ぶ上で大切なポイントをお伝えします。
- 無添加の味噌を選ぶ
- 国産原料100%のものを選ぶ
ポイント①無添加の味噌を選ぶ
味噌は比較的、食品添加物が使われない調味料ですが、保存料や防腐剤、中には化学調味料が使われている味噌もあります。
特に多いのが「酒精」です。
酒精とは「発酵アルコール」のことで、糖蜜やサトウキビなどの糖質と、トウモロコシ・サツマイモなどのでんぷんが原料でつくられている食品用のアルコールです。
一般に、酒精は味噌の発酵を止めて、ガスを抑制する目的のために添加されています。
本来、味噌は麹菌を利用して発酵させてつくっているので、商品化した後も毎日発酵が続いています。
ところが、発酵が進むと、色や香り・風味は徐々に変化して、味噌を入れてある袋が膨張することもあります。
商品を陳列するときや輸送の際に冷蔵が好ましく、そのコストを下げる意味でも酒精を加える業者が多いです。
しかし、麹菌のはたらきを抑えるということは、発酵が止まるということ。
味噌本来の風味が失われてしまうとともに、味噌の発酵食品としての価値が下がってしまいます。
時間が経てば、色や香り・風味が変わってしまうことを理解して、無添加の味噌を選びましょう。
ポイント②国産原料100%のもの
味噌も醤油同様、大豆、小麦、塩が一般的な原料です。
輸入された農産物には、遺伝子組換えやポストハーベスト農薬の問題があります。
現状、安全性を考えるなら「無添加」で「国産原料100%」がベストです。
おすすめの味噌を紹介!
無添加で国産原料100%の味噌。
こんな味噌がおすすめです!
ちなみに、味噌は50度以上に加熱すると栄養素が破壊されてしまいます。
お味噌汁をつくるときは、火を止めてから味噌を溶くのがおすすめです!
減り続ける日本の味噌消費量
近年、国内での味噌の消費が減っていると指摘されていますが、反対に海外への味噌の輸出量は増え続けているんですよね。
実際に、味噌の海外への輸出量は1980年からの40年間で約14倍に増えています。
味噌の輸出実績の推移は40年前の1977年が1012トン。金額にして2億6000万円だった。それから22年後の99年になると輸出量は5175トン、金額は10億8000万円にまで伸びた。そして2010年に初めて輸出量が1万トンを超え、16年には1万4759トン、金額も30億6102万円と過去最高を記録した。
その勢いは止まる気配がない。最新のデータである17年11月までの実績は前年同期を1049トン上回る1万4298トン。金額ベースでは同8.6%増の29億7590万円。12月分を加えれば、通年で数量、金額ともに5年連続過去最高となる見込みだ。
外国の人が味噌を食べているのは驚きますよね。
それとは反対に、国内での味噌の消費量は1960年の時と比べると40%以上も減少しています。
日本人のみその消費量は減少の一途を辿っている。
総務省「家計調査」によると、1990年に約9.5キロだった「2人以上世帯」のみその年間購入数量は、2012年には約5.8キロまで減った。スーパーなどで売られる一般的な家庭用みそパック(750グラム)に換算して、20年ほどで約5個分減った計算になる。
出典:NEWSポストセブン
正直に、これは残念な結果です。
病気の予防という意味においても、お味噌汁は最高の健康食と言えるのですから、是非毎日の食事の主役にしたいものです。
まとめ
味噌の持つ様々なはたらきを知ると、毎日のお味噌汁がとてもありがたく、貴重な食事に感じます。
私たち日本人のお味噌汁を飲む食文化は、こんなにも健康に良かったのです。
- 老化防止
- 冷えの解消
- ダイエット効果
- 生活習慣病の予防
- ガン予防
- 放射線被爆から身を守る
- 無添加の味噌を選ぶ
- 国産原料100%のものを選ぶ
お味噌汁こそ、日本人にとって最高の健康食。
これは、過言ではありませんね。
また、「お味噌汁は、塩分の摂り過ぎになる」という否定的な意見もありますが、これについては、別の記事で解説しています↓