最近、「砂糖は体によくない」「砂糖はやめるべき」という話をよく耳にします。
たしかに砂糖は中毒性のある食品です。
摂りすぎると、体に弊害もでてきます。
「じゃあ、砂糖をやめよう」
となったとしたら・・・
ちょっともったいないです。
私は基本的に食べ物に良し悪しはないと思っています。
それよりも「食べ方」。
砂糖の摂り過ぎに気をつけつつ、自分にあった砂糖を選びましょう。
砂糖の種類を知ろう
砂糖にはたくさんの種類がありますが、大きく分けて2種類あります。
- 含蜜糖
- 分蜜糖
読んで分かるように、「蜜」を含んでいるかいないかの違いです。
この蜜とは「糖蜜」のことで、 砂糖を作る工程で生まれる副産物ですね。
この「糖蜜」を分離せず、そのまま含んでいるものが「含蜜糖」で、糖蜜を分離したものを「分蜜糖」と呼びます。
これだけだとちょっと分かりづらいと思いますので、具体的に砂糖がどうやってできているのかを見てみましょう。
画像引用:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2111/spe1_01.html)
主な含蜜糖は以下の4つ。
黒糖
さとうきびの搾り汁をそのまま煮詰めて冷やし固めてつくられる砂糖。主に沖縄・奄美地方でつくられています。
加工黒糖
原料糖と糖蜜、黒糖をブレンドし、夾雑物を除去した後に煮固めてつくられる砂糖。ブレンドして製造するので、最終製品に合わせて色や風味を調整することができます。また、品質を一定に保つことができるので、加工食品の原料に適しています。
和三盆
サトウキビのなかの「竹糖(ちくとう)」 という品種から作られる砂糖。「盆の上で砂糖を三度『研ぐ(とぐ)』」という伝統的な独自の精糖工程からその名がつけられ、主に香川県・徳島県で生産されています。結晶が細かく口当たりの良さと独特な風味を持ち、和菓子作りに使われます。
赤糖
原料糖と糖蜜をブレンドし、夾雑物を除去した後に、粉末化したものが赤糖です。加工黒砂糖と同様、ブレンドして製造するので、最終製品に合わせて色価や風味を調整することができます。加工黒砂糖と比べてエグみや苦味が抑えられ、まろやかでコクのある味わいです。
粗糖って何?
砂糖や加工食品の原料を見ると、ときどき目にする「粗糖」。これはいわゆる「原料糖」のことです。砂糖の原料は主にさとうきびと甜菜(砂糖ダイコン)ですが、そのしぼり汁からまずは「原料糖」ができます。そこから、製糖メーカーによって、さまざまな砂糖がつくられています。つまり、私たちが手にする砂糖のベースとなるものが粗糖だということです。
続いて、主な分蜜糖も見てみましょう。
上白糖
日本では最も一般的に使用されている砂糖。生産量が多く、日本の砂糖の約半分を占めています。結晶の大きさはグラニュー糖より小さく、結晶表面に砂糖からつくった転化糖液を噴霧するため、しっとりとしています。
グラニュー糖
高ショ糖でクセのない味わいが特徴の砂糖。世界でもっとも使用量の多い砂糖で、海外で砂糖といえばグラニュー糖を指します。洋菓子・コーヒーや紅茶などに幅広く使われます。
三温糖
砂糖の汁を三度煮詰めて作ることからその名が付けられた砂糖です。上白糖を作った残りの液を取り出して煮詰めると褐色がかった三温糖ができあがります。上白糖に比べてコクがあり、甘味が強く感じられます。
角砂糖
グラニュー糖に砂糖液を加えてかき混ぜて、型に入れて押し固め、温風で成形乾燥したもの。
画像引用:沖縄黒糖屋https://kokutoya.com/
転化液糖とは?
液糖と転化糖の2種類の糖が混ざった混合液のこと。液糖の主成分はショ糖で、これが液状になっているものを液糖といいます。転化糖はショ糖を加水分解し、ブドウ糖と果糖に分けたもの。 転化糖を液糖に加えることで転化型液糖ができます。
そのほか、原料や製法によって色々な砂糖があります。
それぞれの砂糖に特徴があるので、用途によって使い分けるといいでしょう。
どれか1つ選ぶなら?
砂糖は「どれが良い・悪い」とかよりも、料理によって使い分けるが正解です。
でも、そんなこと言ったって、そんなにいくつも持っておけない、という人もいますよね。
ここからは日常的に使う体にいい砂糖の選び方を3つお伝えします。
①含蜜糖を選ぶ
砂糖には精製された分蜜糖と、完全に精製されていない含蜜糖に分けられます。
この「蜜」をミネラルとして考えるとより分かりやすい。
分蜜糖はミネラルがほとんどない。
含蜜糖はミネラルを含んでいる砂糖です。
以下は黒糖と上白糖の栄養成分の比較です。
表を見て分かるように、黒糖にはカリウムやカルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルが含まれています。
対して上白糖は、甘味を感じるショ糖(スクロース)以外の成分を徹底的に取り除くまで精製されているため、ミネラルやビタミンなどの成分がほとんど含まれていません。
上白糖やグラニュー糖などの白砂糖はそのものに風味があるわけではないので、食材の香りや色、風味を損ないませんし、クセがないのでどんな料理にも使いやすいのですが、いわば「ただの甘いもの」なんですね。
黒糖をはじめ含蜜糖は分蜜糖よりも栄養価が高く、特有のコクや自然な風味が楽しめるのも魅力です。
黒糖は、長寿の秘訣といわれる沖縄の伝統料理に欠かせないもの。味に深みを与えて、豚肉との相性も抜群です。ダイエットの補食や虫歯の予防にもいいとされていて、砂糖というより天然のサプリメントとして紹介されることもありますね。
毎日摂るならミネラルを含んだ含蜜糖を選んでみてください。
ネットでときどき見かける「白砂糖は漂白されている」というのは間違いです。白砂糖がつくられる過程で、漂白するような化学処理は見当たりません。
ちなみに、ショ糖の結晶は透明無色。白く見えるのは、結晶が光を乱反射しているからなのです。
よく使われる三温糖は上白糖やグラニュー糖の結晶を取り出した後の糖液を煮詰めて作られたものです。薄い茶色をしていますが、これは加熱によりカラメル色がついているのです。黒糖とは内容が違います。
カリウムやナトリウムなどがごくわずかに残っていますが、ほとんど上白糖と変わらないと考えていいです。
ただ、黒糖とは違った味わいがあるのも特徴です。
独特の風味とコクのある甘さが、煮物や佃煮に適していますね。
②「きび砂糖」と「てんさい糖」は使いやすい
含蜜糖の代表である黒糖は、独特の風味とコクがあって美味しいのですが、クセがあって使いにくいという人もいます。
そんな人におすすめしたいのが「きび砂糖」です。
きび砂糖は原料糖(粗糖)から夾雑物を取り除いて、粉末化した砂糖です。
栄養価の高さでは黒糖に劣りますが、ミネラルなどの栄養分も含まれていて、クセや雑味がないので、上白糖やグラニュー糖の代用として料理に使うのにはぴったりです。
また、「てんさい糖」もおすすめです。
てんさい糖はサトウ大根と呼ばれる植物が原料の砂糖。
大根といっても、私たちが普段口にするアブラナ科の大根とは違う種類で、生で食品として扱われることはほとんどありません。
原産国はドイツでヨーロッパが産地の中心です。
日本では北海道で生産されています。
こんな形ですね。
てんさい糖の特徴は「オリゴ糖が含まれていること」と「GI値が低いこと」。
オリゴ糖とは、ブドウ糖などの「単糖」が数個繋がったもの。てんさい糖に含まれているのは「ラフィノース」「ケストース」というオリゴ糖です。
オリゴ糖はビフィズス菌など腸内の善玉菌の栄養源になる成分でで、腸内環境の改善に役立ちます。
また、てんさい糖のGI値は65。
これは砂糖の中ではかなり低い数字です。
GI値(グリセミック・インデックス)とは、食後血糖上昇値のこと。ブドウ糖を100とした時に、70以上のものを高GI値食品、56~69のものを中GI値食品、55以下のものを低GI値食品と定義されています。
砂糖の中ではグラニュー糖が110、上白糖が109、黒糖が99
消化・吸収がおだやかな砂糖なので、ダイエットにもおすすめされています。
こちらも独特のクセがなく、使いやすい。
血糖値が気になる方や、お菓子やジャムづくりなど、砂糖を多く使う料理のときにてんさい糖を選ぶのもいいと思います。
ただし、てんさい糖にも精製されたものがありますので、「てんさい含蜜糖」を選んでください。
③貴重なオーガニックの砂糖
とっても希少ですが、オーガニックの砂糖もあります。
オーガニック砂糖は、原料となるサトウキビの栽培で農薬や化学肥料などを使用せずにつくられたものです。
ろ過、脱色の工程にも人工的な物質は一切使用されていません。
多少、価格も高めですが、化学物質を好まない方や環境にやさしいものを使いたい方におすすめです。
砂糖のかわりに使えるもの
ここまで説明してきましたが、1番大切なのは使い方です。
やっぱり砂糖の摂り過ぎは決して体によくありません。
2015年3月、WHO(世界保健機関)は「成人が1日に摂取してよい砂糖の上限は25gが望ましい」と、砂糖摂取量に対してのガイドラインを定めています。
コンビニやスーパーに置いてある商品の裏側を見ると、そのほとんどに「砂糖」の記載がありますよね。
砂糖は加工品の多くに使われているので、何も気にしないで食べていると簡単に1日の摂取上限を超えてしまいます。
砂糖の摂り過ぎが気になる方は、料理でみりんやハチミツ、メープルシロップなどを使うのもおすすめです。