身近な食品の一つに「ツナ缶」があります。
ご飯やサラダにもよく合うので、毎日のように食べている人もいるのではないでしょうか。
そんなツナ缶にも、気になることが・・・
それが「水銀」の問題です。
ツナ缶には水銀が含まれているって本当?
安全なツナ缶ってあるのかな、、、?
今回はこんな疑問に答えます。
- ツナ缶にはどのくらい水銀が含まれているのか
- ツナ缶を毎日食べると、どんなリスクがあるのか
- ツナ缶を選ぶ時のポイント
あるとむ
自然食品店の店長。
食養アドバイザー。
食を見直して冷え・虚弱体質・ジャンクフード依存から脱却。
食養生、薬膳、東洋医学などを学び得た知識を活かし、食事改善の相談・サポートをしています。
2023年オンライン食養生講座スタート。
2024年初著書『食の選び方大全』出版(サンクチュアリ出版)。
ツナ缶には水銀が含まれている!?
ツナ缶には、微量ではありますが人体にとって有害なメチル水銀が含まれています。
これは、原料であるマグロに水銀が含まれているからです。
そもそも、水銀は自然界に存在している成分で、環境中の循環、また食物連鎖によって、マグロやカジキ、クジラなどの大型魚に多く取り込まれます。
いわば自然現象ではあるのですが、これらの魚に含まれる水銀の濃度が年々高くなっていることが問題視されています。
なぜマグロに水銀が多いのか
水銀には無機と有機と2種類あり、環境中に多く存在する水銀は無機水銀です。
無機水銀自体は、有機水銀と比べて体に与える影響が少ないので、特に危険視はされていません。
しかし、これが環境中で有害なメチル水銀に変化することが分かっています。
火山の噴火、地殻から噴出したガスなどから水銀が排出されます。
↓
大気中の水銀が雨などによって河川や海に流出。
その途中で、水中の微生物の働きによって有害なメチル水銀に変化します。
↓
メチル水銀がプランクトンに取り込まれ、小魚、中魚、大魚と食物連鎖によって、その体内に蓄積されてゆきます。
特に、体の大きいマグロやカジキ、クジラなどの大きな魚は食物連鎖の頂点になっているため、大量の水銀が体内に蓄積されてしまいます。
そして、私たち人間は、お寿司やお刺身など、これらの魚を食べることで有害なメチル水銀が体内に取り込まれてしまうのです。
繰り返しますが、水銀は魚を食べていれば自然に摂り込まれてしまうものなのですが、近年問題になっているのは、石炭の燃焼、ゴミの焼却など、人間が行っていることが原因で水銀量が増していることです。
実は、2004年からの10年間で、海洋の水銀濃度は約19%減少していることが分かっていますが、これは北米地域での石炭利用減少による効果だといわれています。
しかし、反対にアジア地域の水銀汚染はいまだ拡大中であることが指摘されています。
ツナ缶に含まれる水銀の量
平成17年に厚生労働省が公表した『妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項』では、「本マグロとメバチマグロを1週間あたり1回80g(お刺身一人前程度)に制限すること」を指示しています。
それ以外のキハダマグロ、ビンチョウマグロ、ツナ缶に関しては、「通常の摂取で差し支えない」「バランスよく摂取すれば問題ない」とされています。
(参照:厚生労働省「妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項」)
実際に、北海道立消費生活センターのレポートによると、市販されているツナ缶9銘柄の総水銀量を調べた結果、その平均値は0.12ppmで、昭和48年に設定された国の暫定規制値(0.4ppm)を超えるものはありませんでした。
(参照:北海道立消費生活センターレポート)
しかし、アメリカでは食品医薬品局(FDA)により、マグロは水銀の含有量が多い魚とされ、妊婦や幼児に食べさせないように警告しています。
また、ツナ缶に対しても、妊婦にはなるべく食べさせないように指示する医師が多いとのことです。
なぜなら、アメリカでは魚介類から人が取り込む水銀の約40パーセントがマグロが原因といわれ、特にツナ缶の消費量が多いことが指摘されています。
海洋の水銀汚染は進んでいて、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校による研究では、2004〜2012年の間に捕獲されたタイセイヨウクロマグロの組織標本を調査した結果、そこに含まれる水銀濃度は海水に含まれる水銀の1億倍もあったことが分かりました。
ツナ缶の食べ過ぎによる水銀中毒
アメリカでは、ツナ缶が健康に良いと信じた男性が、ツナ缶の食べ過ぎによって水銀中毒に陥ってしまった事例が報じられています。
米国に、ツナ缶を毎週10個程度のペースで食べ続けていた男性がいる。メーカーのCMを見て健康に良いと信じての行動だったのだが、それが招いたのは男性が思っていたのとは全く逆の結果。男性の主張では水銀中毒に陥ってしまったそうで、メーカーと販売したスーパーマーケットに損害賠償を求めて、裁判沙汰になっているという。
米紙ニューヨーク・ポストによると、この男性はニューヨーク州ホワイトプレーンズに住む48歳のリー・ポラッツォさん。彼の主張では、2006年1月にバンブルビーフード社のCMを見てツナは“最も良質なタンパク源”と思い、購入を始めたという。問題はその摂取量で、健康になると信じて疑わない彼は週10個のペースでツナ缶を食べ続けたそうだ。ところが2008年、心臓発作かと思うような胸の痛みを感じ病院へ。そこで伝えられた検査結果は思いも寄らぬものだった。
血液検査を行ったところ、彼の血からは「危険なほど高い」量の水銀を検出。さらにこの検査後、州保健局から異例の呼び出し受け、ツナの食べ過ぎと水銀濃度について注意されたという。その後1か月ほどで水銀レベルは正常値に戻ったものの、治療中は何もできず、筋トレを自粛していた影響から体重が13キロほど減少したそうだ。
出典元:excite ニュース
この男性はツナ缶を毎週10個食べ続けていたそうですが、あまり現実的ではないですね・・・
ただ、ツナ缶好きな人ならそれくらいは食べれそうです。
あくまでも1つの事例ではありますが、何でも食べ過ぎは良くないということを表し定ると思います。
ツナ缶に含まれる水銀の量は微量ではありますが、近年問題となっている海洋の水銀汚染、また、ツナ缶の食べ過ぎによって多くの水銀が取り込まれてしまうということは、知っておくべき事実です。
安全なツナ缶を選ぶポイント
さて、水銀の問題を知った上で、安全なツナ缶を選ぶポイントをお伝えします。
- BPA不使用の缶詰を選ぶ
- 油の質にこだわる
- 化学調味料が不使用のもの
①BPA不使用の缶詰を選ぶ
一般に、缶詰にはBPA(ビスフェノールA)というコーティング剤が使われています。
これは、中身が外にこぼれるのを防ぐために使用されるもので、ポリ塩化ビニルやエポキシ樹脂の原料としても使われています。
BPAは環境ホルモンであり、体内に取り込まれるとホルモンに影響を与えて、高血圧やガンなど生活習慣病のリスクを高める可能性があることが分かっています。
ツナ缶に限らず、BPAを使用している缶詰は、熱や酸、また油によって、この化学物質が溶け出してしまう可能性があります。
希少ではありますが、安全性を重視したBPA不使用の缶詰が販売されています。
▼BPA不使用のツナ缶
②油の質にこだわる
ツナ缶には主に「水煮」と「油漬け」の2種類ありますが、油漬けの方が人気があるようです。
よくテレビなどで「ツナ缶は健康に良い!」と紹介されることがありますが、その際、「中の油も捨てずに使いましょう」とすすめている人もいますよね。
その理由は、健康に良いとされるDHAやEPAなどの成分が油に溶け込んでいるからです。
しかし、油そのものにも良し悪しがあります。
油には多くの種類がありますが、1番のポイントは搾り方です。
薬品を使わずに搾る、昔ながらの製法である「圧搾搾り」がおすすめです。
搾り方がどうかを見極めるのは非常に難しいですが、生産者が安全性を重視しているのならば、油の品質や搾り方についてもしっかりと明記されています。
▼油の選び方について解説しています
③化学調味料が不使用のもの
ツナ缶にも、他の加工食品同様に化学調味料が使われているものが多くあります。
化学調味料については、その安全性は賛否両論ですが、海外では「非常に危険な物質」として認知されています。
仮に、化学調味料の安全性を「グレー(どちらか分からない)」とするならば、使われていないものを選ぶべきです。
▼化学調味料については、こちらの記事を参考にしてください
▼化学調味料不使用の原料にこだわったツナ缶
まとめ|品質の良いツナ缶を少しずつ食べましょう!
さまざまな料理に使われて重宝されているツナ缶ですが、その安全性を考えますと、やはり食べ過ぎには気をつけなければなりませんね。
特に、「体に良い」とされるものは、そればかりを食べ過ぎてしまう傾向がありますので、やはり「食事はバランスよく」で、「良いものを少量いただく」のが良いと思います。